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公開: 2025年11月02日 テスト管理者 72 views 更新: 2025年11月23日

佐世保市の人口減少と労働力不足の深刻化 | 統計データ分析

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佐世保市の人口減少と労働力不足の深刻化 | 統計データ分析

佐世保市の人口減少と労働力不足の深刻化

はじめに

人口減少は、地域経済、税収、社会保障、コミュニティなど、あらゆる面で深刻な影響をもたらします。佐世保市では、平成30年(2018年)から令和6年(2024年)のわずか6年間で19,430人もの人口が失われました。さらに、働き手である生産年齢人口(15-64歳)の割合が低下し、労働力不足や経済縮小のリスクが高まっています。本記事では、佐世保市統計書のデータをもとに、人口減少と生産年齢人口の現状を詳しく分析します。

-19,430人 6年間の人口減少
(H30→R6)
-3,394人 令和6年の年間減少数
(前年比)
54.2% 生産年齢人口比率
(昭和60年: 66.0%)

加速する人口減少

佐世保市の人口は、平成30年の249,263人から令和6年には229,833人まで減少し、6年間で19,430人が失われました。これは、年平均で約3,238人のペースで人口が減少していることを意味します。

特に注目すべきは、減少ペースが加速していることです。令和5年から令和6年にかけては、1年間で3,394人も減少しており、このペースが続けば10年で約34,000人が失われる計算になります。これは、佐世保市の人口の約15%に相当する規模です。

人口推移グラフ(平成24年〜令和6年)

深刻な現実:令和6年には、1年間で3,394人が減少しました。これは、1日あたり約9.3人が減少している計算になります。このペースが続けば、佐世保市の人口は急速に減少していきます。

人口減少の要因

令和6年の人口減少3,394人の内訳を見ると:

  • 自然減:2,101人(出生1,396人 - 死亡3,497人)
  • 社会減:約1,293人(転入 - 転出)

人口減少は、「自然減」(出生より死亡が多い)と「社会減」(転入より転出が多い)の両方が要因となっています。自然減が約6割、社会減が約4割を占めており、少子高齢化と人口流出の両面で深刻な状況にあります。

生産年齢人口の減少

人口全体の減少に加えて、働き手である生産年齢人口(15-64歳)の割合が低下していることが、地域経済にとって大きな問題です。

生産年齢人口の割合は、昭和60年の66.0%から令和2年には54.2%まで低下し、実に11.8ポイントも減少しています。これは、約35年間で、働き手の割合が12ポイント近く下がったことを意味します。

昭和60年(1985年)
66.0%
3人に2人が働き手
令和2年(2020年)
54.2%
2人に1人が働き手

生産年齢人口の減少は、以下のような深刻な影響をもたらします:

  • 労働力不足:企業が人材を確保できず、事業拡大や維持が困難になります。特に、介護、建設、小売、サービス業などで人手不足が深刻化しています。
  • 税収の減少:働き手が減ることで、市の税収が減少し、行政サービスの低下につながります。
  • 地域経済の縮小:消費の中心である生産年齢人口が減少することで、地域経済が縮小します。
  • イノベーションの停滞:若い世代の減少により、新しいアイデアや技術革新が生まれにくくなります。
  • 社会保障費の負担増:働き手が減る一方で、高齢者が増えることで、一人あたりの社会保障費負担が増加します。

地区間の人口格差拡大

佐世保市内でも、地区によって人口に大きな差があります。令和2年のデータでは、本庁管内が80,699人であるのに対し、黒島はわずか384人と、約200倍もの差があります。

都市部と過疎化地域の二極化が進んでおり、過疎地域では:

  • 公共交通機関の路線廃止
  • 商店の閉鎖
  • 学校の統廃合
  • 医療機関へのアクセス困難
  • 地域コミュニティの維持困難

といった問題が深刻化しています。地区間格差の拡大は、佐世保市全体の活力低下につながる懸念があります。

持続可能な地域社会に向けて

人口減少と生産年齢人口の低下は、避けられない現実です。重要なのは、この現実を受け入れた上で、持続可能な地域社会をどう構築するかです。

以下のような取り組みが求められています:

  • 生産性の向上:ICT技術の活用、業務効率化、自動化などにより、少ない人数でも高い生産性を実現します。
  • 多様な人材の活用:高齢者、女性、外国人など、多様な人材が活躍できる環境を整備します。
  • 企業誘致と産業振興:新しい産業を誘致し、若い世代が働きたいと思える雇用を創出します。
  • コンパクトシティ化:都市機能を集約し、効率的な行政サービスの提供と、住みやすい環境を両立します。
  • 地域間連携:近隣自治体との連携により、医療、教育、交通などのサービスを効率的に提供します。
  • 移住・定住促進:佐世保市の魅力を発信し、他地域からの移住者を増やします。
  • リモートワークの推進:東京や福岡の仕事を佐世保でできる環境を整備し、場所に縛られない働き方を支援します。

まとめ

佐世保市の人口は、6年間で19,430人減少し、令和6年だけで3,394人が失われました。生産年齢人口の割合も、昭和60年の66.0%から令和2年には54.2%まで低下し、労働力不足や経済縮小のリスクが高まっています。

人口減少は、自然減と社会減の両方が要因であり、少子高齢化と人口流出の両面で対策が必要です。また、地区間の人口格差も拡大しており、都市部と過疎地域の二極化が進んでいます。

しかし、人口減少を「終わり」として捉えるのではなく、「新しい時代の始まり」として捉えることもできます。生産性の向上、多様な人材の活用、ICT技術の活用などにより、人口が減少しても豊かで持続可能な地域社会を構築することは可能です。

データが示す現実は厳しいものですが、それを正確に理解し、適切な対策を講じることで、佐世保市の未来を切り開いていくことができます。今こそ、市民、行政、企業が一丸となって、人口減少時代に対応した新しい地域社会のあり方を模索していく時です。

参考資料:令和6年版 佐世保市統計書 02-a-01, 02-a-03, 02-b-04, 02-b-05
データ出典:佐世保市企画部政策経営課
みんなシステムズ編集部

野田祐機

長崎県佐世保市出身。佐世保にUターンして、これまで気づかなかった良さを再発見。 BASF, モルガン・スタンレーに勤務ののち、地域の情報配信サイトを運営。youtubeにて情報を発信。元ブロガー。Huffintonpostなどにも寄稿

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