個人事業か法人か?佐世保市の経営形態から見える地域経済
はじめに
事業を始めるとき、個人事業主として始めるか、法人を設立するかは重要な選択です。佐世保市では、個人事業と法人事業の割合はどうなっているのでしょうか?経営形態から見える佐世保市の地域経済の特徴を探ってみましょう。
法人事業所が6割以上を占める
令和3年時点で、佐世保市の民営事業所は9,997事業所あり、そのうち法人事業所が6,402事業所(64.0%)、個人事業所が3,506事業所(35.1%)となっています。法人事業所のうち、会社が5,309事業所(82.9%)、会社以外の法人(医療法人、学校法人、NPO法人など)が1,093事業所(17.1%)です。
雇用の89.7%は法人が創出
さらに従業者数で見ると、法人の存在感は一層大きくなります。法人事業所の従業者数は84,027人で、全体の89.4%を占めています。一方、個人事業所の従業者数は9,648人(10.3%)です。
つまり、事業所数では35%の個人事業所が、雇用では10%しか創出していないのです。個人事業所の平均従業者数は2.8人、法人事業所は13.1人と、約4.7倍の差があります。
地区による違い
地区別に見ると、都市部ほど法人事業所の割合が高い傾向があります。
法人比率が高い地区:
- 日宇地区:966/1,251事業所(77.2%)
- 江上地区:240/291事業所(82.5%)
個人事業比率が高い地区:
- 黒島地区:14/25事業所(56.0%)
- 大野地区:212/508事業所(41.7%)
都市部では規模の大きい法人事業所が多く、郊外では小規模な個人事業所が地域に密着したサービスを提供していることがわかります。
会社以外の法人の役割
会社以外の法人(医療法人、学校法人、社会福祉法人、NPO法人など)は1,093事業所ありますが、その従業者数は21,510人にのぼります。1事業所あたり19.7人と、会社(11.8人)や個人事業(2.8人)を大きく上回ります。
これらの法人は、医療、教育、福祉といった公共性の高い分野で、安定した雇用を提供していることがわかります。佐世保市の雇用の約22.9%を会社以外の法人が担っており、地域社会を支える重要な存在です。
まとめ
佐世保市の事業所は、法人が約6割を占め、雇用の約9割を創出しています。個人事業所は小規模ながら地域に密着したサービスを提供し、法人事業所は大規模な雇用を生み出す。そして会社以外の法人が、医療・教育・福祉の分野で重要な役割を果たしています。
この多様な経営形態が共存することで、佐世保市の経済は多様性と安定性を保っているのです。起業を考えている方は、自分のビジネスモデルと規模に合わせて、最適な経営形態を選択することが重要でしょう。
出典:令和6年版佐世保市統計書(第35回)- 09_事業所