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公開: 2025年11月10日 テスト管理者 43 views 更新: 2025年11月23日

手形交換所が廃止!佐世保の商慣習が変わる瞬間

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手形交換所が廃止!佐世保の商慣習が変わる瞬間

令和4年11月2日、佐世保手形交換所が廃止されました。明治以来、日本の商取引を支えてきた「手形」という仕組みが、ついに佐世保から姿を消したのです。統計書にも「令和4年11月2日廃止」の文字。この出来事は、デジタル化の波が地方都市の商慣習を大きく変えつつあることを象徴しています。

手形取引が5年で半減

佐世保市の銀行における割引手形(企業が受け取った手形を銀行で現金化すること)の残高は、令和元年の25億円から令和5年には12億円へと半減しました。減少率は実に53.9%です。

さらに、銀行貸出全体に占める割引手形の割合は、わずか0.2%にまで低下。かつて企業間取引の主役だった手形が、今や貸出の中でほとんど存在感を失っています。

手形とは何だったのか
手形とは、将来の一定日に代金を支払うことを約束した証券です。例えば、取引先から商品代金として「3ヶ月後に100万円支払う」という約束手形を受け取り、それを銀行で割り引いて即座に現金化することができました。かつては企業の資金繰りを支える重要な手段でしたが、デジタル決済の普及により、その役割は急速に縮小しています。

手形交換所が廃止された理由

手形交換所とは、各金融機関が持ち寄った手形を交換し、決済する場所です。佐世保手形交換所の廃止は、単に手形取引が減ったからだけではありません。

全国的に、手形・小切手機能の電子化(でんさいネット)が進み、紙の手形を物理的に交換する必要がなくなったのです。令和4年11月という時期は、全国的にも多くの手形交換所が統廃合された時期と重なります。

証書貸付が主流に

手形取引が減少する一方で、「証書貸付」が企業融資の中心になっています。令和5年の銀行貸出5,250億円のうち、証書貸付は4,523億円と全体の86.2%を占めます。

証書貸付とは、金銭消費貸借契約書を取り交わして行う通常の融資のことです。手形のような複雑な手続きが不要で、金利や返済条件も柔軟に設定できるため、現代の企業ニーズに適しています。

デジタル化が変える商取引

手形の衰退は、商取引のデジタル化を象徴しています。現在、企業間の決済は以下のような方法が主流になっています。

  • でんさいネット:手形・小切手の機能を電子化したサービス
  • 銀行振込:オンラインバンキングで即座に送金
  • ファクタリング:売掛債権を金融機関に売却して資金化
  • 電子決済サービス:法人向けのクレジット決済やQRコード決済
企業にとってのメリット
デジタル化により、企業は手形の発行・管理・保管にかかるコストや手間を削減できます。また、印紙税も不要になり、紛失や盗難のリスクもなくなります。さらに、資金繰りの見通しがリアルタイムで把握できるようになり、経営の効率化にもつながっています。

変わりゆく佐世保の商習慣

手形交換所の廃止は、単に一つの施設が閉鎖されたという以上の意味を持ちます。それは、長年続いてきた佐世保の商習慣が大きな転換点を迎えたことを示しています。

特に中小企業にとって、手形は「取引先との信頼関係の証」という側面もありました。しかし時代は変わり、今やデジタルで瞬時に送金できる時代です。佐世保の企業も、この変化に対応し、新しい商取引の形を模索しています。

令和6年版佐世保市統計書に記された「令和4年11月2日廃止」の一行は、佐世保の経済史における大きな節目として、後世に記憶されることでしょう。

データ出典:令和6年版佐世保市統計書(第35回)「08_金融」
資料:日本銀行長崎支店「金融経済概況」

みんなシステムズ編集部

野田祐機

長崎県佐世保市出身。佐世保にUターンして、これまで気づかなかった良さを再発見。 BASF, モルガン・スタンレーに勤務ののち、地域の情報配信サイトを運営。youtubeにて情報を発信。元ブロガー。Huffintonpostなどにも寄稿

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