サービス業が佐世保を支える - 産業別事業所データの深掘り分析
はじめに
佐世保市の事業所を産業別に見ると、どの産業が最も多く、どの産業が雇用を支えているのでしょうか?産業別のデータから、佐世保市の経済構造の特徴を読み解いてみましょう。
卸売業・小売業が最多、でも減少傾向
令和3年時点で、卸売業・小売業が2,629事業所と最も多く、全体の25.8%を占めています。従業者数も20,125人と、全体の20.7%を占める主要産業です。
しかし、平成28年には3,033事業所あったことを考えると、5年間で404事業所(13.3%)減少しています。オンラインショッピングの普及や大型店への統合が進んでいることが影響していると考えられます。
医療・福祉が安定雇用を提供
医療・福祉分野は、事業所数1,044と全体の10.3%を占め、従業者数は推定約1.5万人と推定されます(全体の約15%)。高齢化社会の進展により、この分野は今後も重要性を増していくでしょう。
平成28年から令和3年の5年間で事業所数はほぼ横ばいですが、1事業所あたりの従業者数は増加していると考えられ、施設の大規模化が進んでいるようです。
宿泊業・飲食サービス業の底力
宿泊業・飲食サービス業は1,219事業所(12.0%)あり、従業者数も推定約1.2万人と推定されます。観光都市佐世保を支える重要な産業です。
平成28年から令和3年の間に、事業所数は47減少(1,266→1,219)しましたが、新型コロナウイルスの影響を考えると、比較的健闘していると言えるでしょう。
建設業は堅調、製造業は減少
建設業は973事業所(9.6%)と、5年間でほぼ横ばいです。従業者数は7,554人で、1事業所あたり7.8人と、比較的小規模な事業所が多い産業です。
一方、製造業は547事業所から529事業所へと18事業所減少しましたが、従業者数は大きく減少していないと推定され、大規模化・効率化が進んでいるようです。
第三次産業が8割以上
佐世保市の産業構造を大きく見ると、第三次産業(サービス業)が84.5%を占めています。これは全国平均(約75%)よりも高く、佐世保市がサービス産業中心の都市であることを示しています。
第一次産業(農業・林業・漁業)は79事業所(0.8%)、第二次産業(製造業・建設業)は1,502事業所(14.8%)と、第三次産業の圧倒的な存在感が際立ちます。
まとめ
佐世保市の産業構造は、卸売・小売業、医療・福祉、宿泊・飲食業が三本柱となっています。卸売・小売業は減少傾向にあるものの依然として最大の産業であり、医療・福祉は高齢化社会に対応して安定した雇用を提供し、宿泊・飲食業は観光都市としての佐世保を支えています。
全体として第三次産業が8割以上を占めるサービス経済の都市であり、この特性を活かした産業振興が今後も重要になるでしょう。
出典:令和6年版佐世保市統計書(第35回)- 09_事業所