UターンとIターン：佐世保市への移住の実態

移住者数が急増、令和5年度は284人に

佐世保市への移住者数が令和5年度に284人を記録し、前年度の201人から41%増加しました。これは行政を介した県外からの移住者数であり、実際にはさらに多くの人々が佐世保市に移り住んでいると考えられます。

令和4年度に一時的に減少した移住者数が、令和5年度に大きく回復したことは、コロナ禍を経て地方移住への関心が再び高まっていることを示しています。特に、リモートワークの普及により、都市部に住む必要性が低下したことが、地方移住を後押ししている可能性があります。

Uターンが主流：佐世保出身者の帰郷が66%

移住者の内訳を見ると、令和5年度はUターン移住者が188人で全体の66.2%を占めています。これは、佐世保市出身者が地元に戻ってくるケースが多いことを示しています。

Uターン移住が多い理由としては、以下のような要因が考えられます：

1. 家族の介護や支援：高齢化が進む中、親の介護のために地元に戻るケースが増加 2. 子育て環境の魅力：都市部と比べて、自然豊かで子育てしやすい環境 3. 生活コストの削減：住宅費や生活費が都市部よりも安価 4. コロナ禍の影響：都市部での生活に疑問を感じ、故郷での生活を選択

一方、佐世保市出身でない人々のIターン移住は69人で、全体の24.3%でした。Uターンと比べると少数ですが、佐世保市の魅力に惹かれて移住してくる人々が一定数いることは注目に値します。

Uターン移住者の急増：令和4年から52人増

特に注目すべきは、Uターン移住者の急増です。令和4年度の136人から令和5年度には188人へと、52人も増加しています。これは38%の増加率であり、佐世保市出身者が積極的に地元へ戻る動きが加速していることを示しています。

この増加の背景には、佐世保市の移住支援策の充実や、都市部での働き方の変化が影響していると考えられます。特に、以下のような要因が考えられます：

テレワークの定着

都市部の企業に勤めながら地方で生活する「テレワーク移住」が増加。佐世保市でも、高速インターネット環境が整備され、テレワークがしやすい環境が整いつつあります。

地方創生の取り組み

佐世保市は移住支援に力を入れており、移住相談窓口の設置や、移住体験ツアーの実施など、Uターン希望者を支援する体制を強化しています。

ライフスタイルの変化

コロナ禍を経て、「都市部での密集した生活よりも、地方でゆとりある生活を」と考える人が増加。特に子育て世代のUターンが目立ちます。

Iターン移住の課題と可能性

Iターン移住者は令和4年度の65人から令和5年度は69人と、微増にとどまっています。Uターンと比べると伸び率は低いものの、佐世保市にゆかりのない人々が移住を選択することは、市の魅力が外部からも評価されている証拠です。

Iターン移住を増やすためには、以下のような取り組みが必要でしょう：

1. 仕事の確保：移住者向けの就業支援や、起業支援の充実 2. 住まいの提供：空き家活用や、移住者向け住宅の整備 3. コミュニティへの受け入れ：地域住民との交流機会の創出 4. 情報発信の強化：佐世保市の魅力を全国に向けて発信

佐世保市の未来を担う移住者たち

移住者の増加は、人口減少に悩む佐世保市にとって明るいニュースです。特に、Uターン移住者の多くは30〜40代の働き盛り世代であり、地域経済や地域コミュニティの活性化に貢献することが期待されます。

また、移住者は新しい視点やアイデアをもたらし、地域の活性化や新規事業の創出につながる可能性もあります。佐世保市としては、移住者を温かく迎え入れ、定着を支援する体制をさらに強化していくことが重要です。

令和5年度の284人という数字は、佐世保市が「選ばれる地域」になりつつあることを示しています。今後も移住支援策の充実と、移住者が活躍できる環境づくりを進めることで、さらなる移住者の増加が期待できるでしょう。

データ出典：令和6年版佐世保市統計書 14_行政及び選挙 > 移住者数 注：移住者数は行政を介した県外からの移住者数を示しています