10の貯水池が支える佐世保の水:1日56,610㎥の安定供給力
佐世保市民の生活を支える水道水。その源は市内各地に点在する10の貯水池です。令和6年版佐世保市統計書のデータから、佐世保の水源の実態を探ります。
佐世保北部の5つの貯水池が中核
佐世保市の水源は、大きく5つのエリアに分かれています。最も重要な役割を果たしているのが、佐世保北部の5つの貯水池です。
| 貯水池名 | ダムの高さ | ダムの長さ | 有効水深 | 取水能力(㎥/日) |
|---|---|---|---|---|
| 山の田貯水池 | 24.5m | 310m | 18.1m | 6,300 |
| 転石貯水池 | 22.7m | 164m | 16.7m | 2,700 |
| 菰田貯水池 | 40m | 387.7m | 25m | 12,600 |
| 相当貯水池 | 34m | 150m | 27m | 5,700 |
| 川谷貯水池 | 46m | 178m | 29.8m | 13,300 |
この5つの貯水池だけで、合計40,600㎥/日の取水能力を持っています。特に川谷貯水池と菰田貯水池は、それぞれ13,300㎥/日、12,600㎥/日と大きな取水能力を誇り、佐世保の水道を支える中核的存在です。
佐世保南部の下の原貯水池も重要な役割
佐世保南部には下の原貯水池があり、1日14,800㎥の取水能力を持っています。これは単一の貯水池としては最大の取水能力で、南部地域の重要な水源となっています。
ダムの高さは36.5m、長さは178m、有効水深は17.4mと、北部の貯水池と比べても遜色ない規模を誇ります。
佐世保市の貯水池が北部、南部、吉井、小佐々、鹿町の5つのエリアに分散配置されているのには理由があります。一つの貯水池に頼ると、渇水や災害時のリスクが高まります。複数の水源を持つことで、リスクを分散し、安定的な水供給を実現しています。また、それぞれの地域に近い水源から供給することで、配水の効率化も図られています。
周辺地域の水源も重要
吉井地区の踊瀬貯水池は1,200㎥/日、小佐々地区の楠泊貯水池は480㎥/日、鹿町地区には神林貯水池(230㎥/日)と歌ヶ浦貯水池(300㎥/日)があり、それぞれの地域の水需要を支えています。
これらの小規模な貯水池は、地域密着型の水源として、きめ細かな水供給を可能にしています。特に、合併前の旧町の地域では、こうした地域固有の水源が今でも重要な役割を果たしています。
1日73,169㎥の需要に対し、56,610㎥の取水能力
令和5年度の1日平均配水量は73,169㎥でした。一方、10の貯水池の合計取水能力は56,610㎥/日となっています。
この差をどう埋めているのでしょうか。実は、佐世保市は県営水道からも水の供給を受けています。また、取水能力は最小値を示しており、実際にはより多くの水を取水できる場合もあります。さらに、貯水池には貯水機能があり、雨の多い時期に蓄えた水を渇水期に使用することで、年間を通じて安定供給を実現しています。
近年、気候変動の影響で、豪雨と渇水の両極端な現象が増えています。佐世保市の水道事業にとって、貯水池の適切な管理と容量の確保は、ますます重要になっています。ダムの堆砂対策、施設の長寿命化、さらには新たな水源の確保など、将来を見据えた取り組みが求められます。川谷貯水池のダム高46m、有効水深29.8mという数字は、先人たちが将来の水需要を見据えて整備した、貴重な財産なのです。
データ出典:令和6年版佐世保市統計書(第35回)「06_ガス及び水道 B_上水道 01_貯水池」
資料:水道局総務課(令和6年4月1日現在)